特定危険指定暴力団・工藤会(北九州市)のトップで総裁の野村悟被告(74)に先月、死刑判決が言い渡された。指定暴力団トップに死刑が言い渡されるのは初めてとみられる。野村被告ら工藤会幹部を次々と逮捕することになる福岡県警の「頂上作戦」で、2014年の着手時に最前線で指揮した尾上芳信刑事部長に判決の意義を聞いた。
――判決をどう聞いたか
午前10時から午後4時ごろまで続いた判決を、最初から最後まで傍聴した。主文の言い渡しは後回しで、厳刑とは思っていたが最後までわからなかった。だが終盤、裁判長が量刑の理由のなかで「極刑の選択がやむを得ないと認めるほかはない」と述べた瞬間、隣に座っていた同僚と目を合わせてうなずいた。思わず前のめりになった。
実行役が起こした事件の刑事責任を組織のトップにも認めた。暴力団犯罪の抑止につながるという意味で、画期的な判決だ。
工藤会事件をめぐっては、多くの県民が犠牲になってきた。外を歩くのが怖いと思う人や、悔しい思いを抱く被害者や遺族がいる。この判決がそんな人たちに少しでも報いることになったのであれば幸いだ。
――19年10月から続いた公判で感じたことは
初公判を含めて10回ほど傍…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル